不動産鑑定士のブログ 〜坂の上の雲〜

更新頻度が比較的高い不動産鑑定士のブログです。ためになる情報を発信していきます(たまに下ネタも。)。

【第334回】不動産業も不況におちいる可能性が出てきた。

こんにちは、城山です。

 

 

はじめに

のんびり昼飯を食ってたらブレーキングニュースです。

 

テナント賃料猶予を要請 ビル所有者に通知  :日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57437870R30C20A3000000/

 

国土交通大臣が賃料の値下げや猶予を認めてしまいました。

これでテナントは、大臣のお墨付きで値下げや賃料支払いの猶予できる権利を得ました。

テナントビル所有者に対し、入居する事業者からの賃料徴収猶予を検討するよう働き掛ける考えを明らかにした。

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赤羽国土交通大臣

賃料をはらわないということ

これは、これは他の自粛系と違って「利用したサービスの料金支払いを求めるな」という非常に暴力的な要請です。サービスの対価を払わないわけですからね。

サービスとは、不動産を貸すことであり、そのサービスの対価としての賃料があるわけですが、一方的にサービス提供だけさせられて、対価がもらえないわけですから、結構ハードです。

 

じゃあですよ?テナントは賃料を支払わず、賃料を猶予したオーナーはテナントの飲食店でタダで飲み食いするってなると、どうなりますか?それはたぶんだれも応援してくれないですよね。そんなこと国土交通大臣がオッケーなんて言うわけ無いですよね。

 

もし賃料支払い猶予与えるなら、「●ヶ月まで」とか、「●%で」とかはっきり限度とかを示してほしかったですよね。

 

それに、仮に猶予を与えたとしても、与えた先が倒産したりして猶予した分が不良債権になったら国土交通大臣は買い取ってくれるのでしょうか?

 

たぶんそこまで考えてないですよね!!

 

賃料の猶予→不動産業者の業績悪化、キャッシュフロー悪化

→でも不動産業者には借入金の返済猶予なし

→不動産業全体のクレジット悪化

→不動産業向けの与信費用上昇、銀行の決算悪化

→そして金融危機へ ・・・

こんな最悪シナリオがあり得るけど、ここまで見えてないですよね?

 

賃料に猶予与えるなら、借入金の返済等にも猶予してもらわないと、不動産業だけが割りを食うことになります。

あちらを立てればこちらが立たずという言葉がありますが、あちらを立てるならこちらもしっかりと立ててもらいたかった。

 

おわりに

というわけで、不動産業もおおきな影響があるでしょう。なにしろ賃料がもらえないわけですからね。賃料を支払うのが大変になっている、じゃねえよ。じゃあ大家は返済を支払うのが大変になっている、って言ったら返済待ってくれるんか。軽々しく言うな(物事をもうちょっと整理してからパブコメとか出してくれ。)。

以上、怒りのエントリーでした。

 

 

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