みなさんこんにちは、城山です。
まだ夏休み中なので、夏休み企画の続きです。
今回は意外と真面目な記事になりました。
- ■はじめに
- ■インタビュー
- ■「地方」とは
- ■地方の鑑定士に関するウワサ
- ■地方の不動産鑑定士の現状
- ■公的評価について
- ■不動産鑑定士の年齢層
- ■爺鑑定士
- ■地方の鑑定実務
- ■兼業?
- ■平成30年7月豪雨について
- ■住家被害認定調査
- ■その1のおわりに
■はじめに
今回は、私が昔から知りたかったこと、それは
地方の不動産鑑定士は儲かるのか?
です。
不動産鑑定士になって、
都会でファンドビジネスに携わってブイブイいわせたい
または
地元に戻って資格を活かし、公示に入りたい
いろいろと期待に胸を膨らませている人もいるでしょう。
私は、
都会でも働けるし、
田舎でも働ける、
不動産鑑定士は自分がどこでも働けるように、
自分の身を守ってくれる資格だ、
と思っていました。
だから、
地方でもちゃんと稼げる仕事である必要があると思っています。
■インタビュー
今回、ある地方都市の、ある不動産鑑定士の先生にインタビューしました。
Aさんとしましょう。
Aさんを簡単にご紹介すると、
地方出身、東京で鑑定士として活躍し、
ある地方で不動産鑑定士として信用あるポジションについています。
なので、今回のインタビュー内容は、ある程度以上に信用できるものです。
■「地方」とは
ここでいう「地方」とは、東京から500km以上離れた地方都市です。
「平成30年7月豪雨」にあったどこか、です。
平成30年7月豪雨 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B47%E6%9C%88%E8%B1%AA%E9%9B%A8
総務省発表資料によると、この地方都市の平均年収は
300万円くらいです。
■地方の鑑定士に関するウワサ
私もここ10年、何度も聞いてきました。
「地方には鑑定士にとってのお花畑が広がっているらしいぞ!」
と。
要は、地方の鑑定士は儲かるらしい、という話です。
今回、その噂を否定する内容かもしれません。
もしかしたら、不確かな情報もあるかもしれません。
でも全てが間違った情報であるとも思いません。
以上を踏まえ、読み進めていただければと思います。
■地方の不動産鑑定士の現状
Aさんの仕事は、全て中央から委託されての業務とのことで、
地元の銀行等、民間から委託された仕事は
「ゼロ」
とのこと。
Aさんは、地方の鑑定士業界でトップに君臨する人です。
その頂点にいるAさんにすら、民間からの仕事はやってこないわけです。
てことは、地方で独立している零細鑑定士に、
民間から仕事がふられる、なんてことは、
普通に考えるとありえないですよね。
地方の不動産鑑定士に、民間からの仕事はないのでしょう。
■公的評価について
地方でやっていけるかどうかは、
地価公示の仕事をゲットできるかどうか、だそうです。
でも、地価公示の仕事も、1地点で6万円くらいですよね。
【事業名】地価公示 (地価調査業務に係るデータ集計、分析業務) http://www.mlit.go.jp/common/001135897.pdf
どうやって生きていくんでしょうか。
なお、「地価公示に入れないと、他の公的評価の仕事
(地価調査、固定資産税標準値、相続税路線価評価)
は全部できない。」とのことです。
日本不動産鑑定士協会連合会 https://www.fudousan-kanteishi.or.jp/koutekihyouka_minkanhyouka/
なに食って生活しているのでしょうか。
また、競売案件もほとんどないそうです。
さらに、高齢者が多い地方だから、
相続案件が多いのかと聞いてみたところ、
「たぶん多くない。」とのことです。
え、まじでどうやって生きているのでしょうか。
じゃあ地価公示の仕事をゲットできるかどうかですが、
簡単にはゲットできないそうです。
爺鑑定士たちが掴んで離さないからですね。
■不動産鑑定士の年齢層
Aさんによると、
「城山さんが、いま地方に帰ってきたら、この地方ではおそらく
最年少の不動産鑑定士になることはほぼ間違いない
ですよ。」
とのこと。
城山、3x歳のオッサンですが、
それでも最年少?
20代はいないようです。
あと女性の鑑定士もいないとのこと。
■爺鑑定士
私が勝手にジジイ鑑定士と言っているだけです。
略してジジカン
怒られそうですね笑
10年ほど前から
「これから高齢の鑑定士がどんどん引退して、
若い鑑定士にはチャンスが増える!」
と聞いてました。
どうでしょうか、10年前と変わっていません。
Aさんいわく
「あと5年以上は、この状況(ジジカン多数)の状況は変わらないでしょう。」
と。
ふむ。
基礎的な仕事もない、
専門知識を使うチャンスもない、
若い鑑定士には不遇の時代がまだ続きそうですね。
どうやって平成を乗り越えていくのでしょうか。
■地方の鑑定実務
受験生は、直接還元法やDCF法を一生懸命勉強しますが、
「そんな手法使う機会はゼロ。」
「最近の案件は、養豚場です。」
だそうです。
東京から、養豚場の案件が降ってくると。ふむ。。
■兼業?
儲かってそうな鑑定士の先生の特徴として、
「鑑定士としてだけでなく、仲介業務や会計士業務もやっているようだ。」
とのことです。
鑑定士事務所として登録しつつ、
宅建業法としても活躍しているんですね。
鑑定士より、宅建のほうが儲かる、
というのはよく聞きますよね。
■平成30年7月豪雨について
前後しますが、Aさんの事務所を訪問し、最初の話題が豪雨でした。
不動産鑑定士が、被災地へ行って、
住家被害認定調査をしている
とのことです。
これをもとに、被災者は、罹災証明書を行政に提出して、
住宅ローンの免除や、
補助金の申請などが可能になるようですね。
罹災証明書とは?もしもに備えて知っておきたい利用方法と申請方法 https://how2-inc.com/suffering-certificate-2111
本来、土地家屋調査士や一級建築士がメインとなる仕事だと思いますが、
現時点では「人手が足りないから」的な理由で、
不動産鑑定士にも仕事が回ってきているそうです。
どんな仕事かは、
この佐藤先生という方のブログやコメント、セミナー内容を参照してください。
不動産鑑定士による「災害復興支援活動」|TACNEWS 2017年11月号|特集|資格の学校TAC[タック] https://www.tac-school.co.jp/tacnewsweb/feature/feat201711_1.html
つかさ不動産鑑定事務所「社員の言いたい放題!」ブログ https://tukasarea.exblog.jp/
住家被害認定調査等研修会のお知らせ - つかさ不動産鑑定事務所 http://www.tukasa-rea.co.jp/archives/2851/
この先生、すごいですね。
こういう人に偉くなってほしいですね。
■住家被害認定調査
この調査における不動産鑑定士の報酬ですか?
2万円です。
この暑いなか、被災地にいって、
写真を撮って、
住宅の柱の数、
障子の数、
ふすまの数、
壁の数、これらを数え、
基礎がどれくらい動いたかを測り、
図面を書いて(鑑定士に図面など書けるのか?)、
県に提出する。
調査マニュアルを見せてもらいましたが、感想は
分厚い
です。
地価公示の仕事がなくて、やることがない鑑定士さんにとっては
いい仕事かもしれませんが、
被災地に行くって、大変な仕事ですよね。
怪我するかもしれませんし。
行って帰るだけで大変です。
なお、とび職の日当は
3万円です。
とび職の人の仕事も非常に大変だと思いますが、
せめて同額くらいの報酬にしてあげてよ。。
と思ってしまいました。
この地方都市の平均年収が300万ですが、
月に10日働いたら、30万円ですよ。
超いいですよね。
なお、ジジカンたちは被災地に行って、
楽しそう?に仕事しているようです。
■その1のおわりに
今日は、ほんとーに先程までインタビュー(というかランチ)
をしていたので、
聞いた話を忘れないようにばーっと書いてみました。
明日(か明後日)のその2では、
今日書き漏れた話を整理します。
また、Aさんから
「こんなことも書いておいてね」
と言われたこともあるので、それも追記します。
もちろん、Aさんにはブログに書く旨の了解はもらっていますからね。
個人的には、今回結構いい記事書けた気がするので、
豪雨の記事はスピンアウトさせるかもしれません。
佐藤先生というすごい鑑定士先生も見つけてしまいましたし。
あと、各記事に写真を毎回載せていますが、すべて自分が撮影したものです。
では。