不動産鑑定士のブログ 〜坂の上の雲〜

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収益還元法その2

こんにちは、城山です。

今日は収益還元法の残りの

土地残余法などを。

 

 

土地残余法

宅地の類型は、

その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、

更地/建付地/借地権/底地/区分地上権等に分けられる。 

更地とは、

建物等の定着物がなく、かつ、

使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。 

 

土地残余法とは

不動産が敷地と建物等との結合により

構成されている場合において

②収益還元法以外の手法によって建物等の価格を求め、

当該不動産に基づく純収益から

建物等に帰属する純収益を控除した残余の純収益を、

⑤還元利回りで還元する手法をいう。

 

有効性

対象不動産が更地である場合において、

①当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定し、

②当該複合不動産に基づく純収益から

建物に帰属する純収益を控除した残余の純収益を

③還元利回りで還元することにより、

収益価格を試算することができる。 

 

使えない場合

土地残余法を適用するに当たっては、

建物等が古い場合には

複合不動産の生み出す純収益から

土地に帰属する純収益が

的確に求められないことが多いので、

建物等は新築か築後間もないもの

でなければならない。

 

 

土地残余法と市場分析(地域分析)

土地残余法の適用にあたっては、主に

建物の想定

純収益の査定

③還元利回りの査定

に市場分析の結果を反映する必要がある。

 

①建物想定

建物の想定にあたっては、

地域分析により判定した

近隣地域の標準的使用を踏まえ、

規模・用途・形態等周辺環境に適合した

最有効使用の建物を判定する必要がある。

ただし、

対象不動産の位置規模環境等によっては、

標準的使用の用途と異なる用途が

最有効使用と判定される可能性が考えられるので

こうした場合には

それぞれの用途に対応した個別的要因の分析

を行ったうえで最有効使用を判定しなければならない

 

最有効使用の建物の想定にあたっては、

必ずしも容積率を使い切ることが

最有効使用ではなく

容積率を使い切ることに対応する

賃貸需要があるか等について

市場分析を通じて検討し、

経済合理性の観点から

使用容積率を把握する必要がある。

よって、

対象不動産の立地、規模、機能、周辺環境等に係る

需要者の選好を踏まえたうえで、

最有効使用の建物の想定を行うべき。

 

具体的には、

対象地が都心商業地で、

需要者が投資家である場合、

賃貸収入を最大化するために

容積率を使い切ることが最有効使用。

 

対象地が低層ロードサイド店舗地で、

需要者が店舗経営者である場合には、

駐車場確保の必要性や、

上層階への顧客誘致

の困難性から

容積率を使い切ることは最有効使用とはならない

 

②純収益査定

純収益の査定にあたっては、

市場分析を通じて、

賃貸需要・需要者が求める

機能・規模・負担可能な賃料

を的確に把握する必要がある。

 

具体的には、

ファミリー層が需要者となる住宅地域においては、

間取り、設備、需要者の所得水準

周辺地域に存する代替競争不動産の賃料水準

空室の多寡等を分析することが必要となる。

 

また、事務所需要の認められる商業地域においては

需要者の属性(大企業・中小企業等)により、

必要とする規模・設備・負担可能な賃料等に

大きな差異が生じるため、

市場分析により想定建物の規模に応じた

適切な賃料設定が必要となる。

 

賃料設定

賃料設定にあたっては、

地域分析により明らかにした

当該地域における賃貸需要の多寡や

需要者(借手)が求める機能規模、

負担可能な賃料水準を踏まえ、

想定建物に係る賃料等を

適切に求める必要がある。

 

賃貸事例比較法

賃貸事例非核法を準用して

想定建物に係る賃料を査定する際には、

借手の視点に立って、

近隣地域と賃貸事例の存する地域との

地域要因の相違を格差修正率に

反映する必要がある。

 

③還元利回り

還元利回りの査定にあたっては、

地域分析により明らかにした

当該地域の業務環境や盛衰の動向、

当該地域における投資需要の多寡等

を十分踏まえ、

市場の実態に即した水準の利回り

として求める必要がある。

 

還元利回りは、

地方別・用途的地域別・品等別等によって

異なる傾向を持つため、

類似の不動産の取引事例から得られる

取引利回りから還元利回りを求める際には、

投資家等の買手の視点に立って、

近隣地域と取引事例の存する地域との

地域要因の相違を格差修正率に反映

する必要がある。

 

 

有期還元法とインウッド式

有期還元法

償却前純収益

割引率

有限の収益期間とを基礎とした

複利年金現価率を乗じて

⑤収益価格を求める方法である。

 

有機還元法は、

対象不動産の純収益が最有効使用の観点からみて

「非永続的」なものと判断される場合に

適用され得る方法である。

 

インウッド式

有期還元法の一種で、定借のとき有効。

不動産が敷地と建物等の結合により

構成されている場合において

償却前の純収益に、

割引率有限の収益期間とを基礎とした

複利年金現価率を乗じて得た額に、

収益期間満了時点における土地又は建物等残材価格並びに

建物等の撤去費

現在価値に換算した額を加減して、収益価格を求める方法。

 

定期借地権

通常、

旧借家法に基づく借地権や、

借地借家法に基づく普通借地権を前提とする借建の場合、

借地契約が終了しても更新可能性が高いことから、

更新料・建替承諾料等の支払いを前提に、

対象不動産の純収益を「永続的」なものと判断し、

永久還元法によって収益価格を求めることが出来る。

 

定期借地権の場合

①通常の借家契約のように更新はせず、

②契約期間満了に伴い確定的に契約関係が終了する。

③借地権者は建物を取り壊しのうえ

土地を明け渡す必要がある。

④このような場合は、

永久還元法よりも、

有期還元法を適用することが妥当と考えられる。

 

定期借家権

定期建物賃貸借契約は、

①通常の借家契約のように更新はせず、

②契約期間の満了により

確定的に契約関係が終了するため、

立退き料は発生しない。

 

したがって、

①対象不動産が借家人と定借を締結している貸家で、かつ

②建物の老朽化

③敷地との不適応等が著しい場合には、

その最有効使用について

④定借期間が満了するまでは現況の建物利用を継続し、

⑤期間満了に伴い借家人が退去した後に

建物を取り壊して更地化すること、

と判定することもあり得る。

このような場合

対象不動産の生み出す純収益は

非永続的なものであるため、

直接還元法の適用に当たっては、

インウッド式を採用することが合理的と考えられる。

 

このように純収益には、

①永続的なものと非永続的なものがあり、

②収益価格を求める方法とも密接な関連

があることに留意する必要がある。

 

なお、

①定期借家契約期間が長く、

期間満了時に復帰する更地価格の査定等に

困難性が伴う場合は、

②永久還元法を採用し、

③将来の更地価格の復帰については

還元利回りで考慮することが合理的

と考えられる。

 

■おわりに

私が受験生の頃は、

インウッド式などはほぼ問われることが

ありませんでしたが、

現在はどうなのでしょうか。

 

最近は事業用の定期借地権の事例も増えてきましたし、

もしかしたら論文等で問われたり

しているんでしょうかね。

 

土地残余法については、

演習問題で必ず問われるので、

演習問題と基準の暗記を繰り返して、

理解を深めていってもらいたいです。

 

ようやく鑑定理論も半分を超えてたって感じですね。

では。

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