不動産鑑定士のブログ 〜坂の上の雲〜

更新頻度が比較的高い不動産鑑定士のブログです。ためになる情報を発信していきます(たまに下ネタも。)。

鑑定理論第二章のまとめ(その2)

こんにちは、城山です。

 

前回に続き、

第二章のいいとこ取りですね。

 

今回でも終わらなかったので、

もう一回第二章があります。

 

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こうまとめていると、

自分もよく勉強したなぁ

なんて思います。

 

合格レベルの人は、

この程度の内容はさらりと書けるでしょうが、

当時はこれらの内容を答案用紙に

ぶつけるように

記述していました。

 

さて今回は

基本中の基本「更地」をはじめとし、

建付地

借地権

底地

などですね。

 

 

合格祝賀会の記念撮影時、

合格者全員で

「さらち〜」と言って撮影します。

なぜか。

みんな「い〜〜〜」っと笑顔になるからですね。

 

区分地上権?なにそれ美味しいの?

  

■更地

建物等の定着物がなく、かつ

使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。

 

更地は

配分法の適用等により多数の取引事例を収集できること

最有効使用の建物建設を想定することにより

純収益を適切に求め得ること

造成地等であれば再調達原価を求め得ること

から、三手法の適用が基本的なものとなる。

 

更地は

当該宅地の最有効使用に基づく経済価値

十分に享受することを期待し得るため、

更地の鑑定評価においては、

当該宅地の最有効使用を前提として把握される価格を求めることとなる。

 

■更地の鑑定評価額は

更地並びに自建の取引事例に基づく比準価格

土地残余法に基づく収益価格 

関連付けて決定するものとする。

③再調達原価が把握できる場合には、

積算価格をも関連付けて決定すべきである。

当該更地の面積が

近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等においては、

開発法による価格を比較考量して決定するものとする。

 

更地の収益価格/比準価格を求める場合は、

①更地の取引事例のみならず、

自用の建物及びその敷地(以下「自建」と書きます)の取引事例に

配分法を適用して採用することもあるが、

②この場合、当該複合不動産の事例は、

敷地が最有効使用の状態であるもの

採用すべきである。

③土地残余法・開発法の適用において想定する建物等は、

敷地の最有効使用に係るものでなければならない。

 

更地と建付地との相違点、評価額に差異が生じる理由

①いずれも使用収益を制約する権利の付着していない宅地であるが、

②更地には建物等がないため、

当該宅地の最有効使用に基づく経済価値を実現することが出来る。

一方、

建付地には建物等があるため、

自建が最有効使用の状態にない場合は、

③更地と同等の経済価値を実現することは不可能。

④自建ての敷地が最有効使用の状態と異なることによる

建付減価が生じている。

 

■更地と建付地

更地とは、

建物等の定着物がなく、かつ

使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。

 

建付地とは、

建物等の用に供されている敷地

建物等及びその敷地が同一の所有者に属し

かつ当該所有者により使用され

その敷地の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。

 

建付地は、

建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているため

建物等と密接な関係を持つものであり、

したがって建付地の鑑定評価は

建物等と一体として継続使用することが合理的である場合において

その敷地について部分鑑定評価をするものである

 

更地と建付地との相違点、評価額に差異が生じる理由

①いずれも使用収益を制約する権利の付着していない宅地である。

更地には建物等がないため、

当該宅地の最有効使用に基づく経済価値を

十分に享受することが期待出来るが、

建付地は現に建物等の用に

供されている宅地であり、

建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているため、

③建物等との均衡状態の如何によっては、

更地と同等の経済価値を実現することは

できない。

すなわち

④自建ての敷地が最有効使用の状態と

異なることによる建付減価が生じている。

 

建付減価とは

①敷地と建物等との適応や

②不動産と環境との適応が

最有効使用の状態より劣る場合(容積率不活用)には、

③当該宅地の効用の減退等による

建付減価が生じ、

建付地の評価額は

更地としての評価額を下回る。

 

したがって、

建付地の鑑定評価額は、

原則として更地の鑑定評価額を上限とし

配分法による比準価格

土地残余法による収益価格

関連付けて決定するものとする。

 

この場合においては

当該建付地更地としての最有効使用との格差

更地化の難易の程度

敷地と建物等との関連性

を十分考慮すべきである。

また、

各評価手法を適用する場合における

事例資料は、

敷地と建物等との適応の状態が

対象不動産と同程度のもの

採用すべきである。

 

建付地価格が更地価格を上回る場合

建付地は、

敷地上に特定の建物等が存在しているため、

②その使用方法は当該建物等によって

制約を受け、

③建物等が敷地の最有効使用に

適応しないものである場合には、

④当該建付地の価格は、

⑤そこに最有効使用に基づく建物等が存在する場合に比べて低くなる。

(建付減価発生)

したがって、

建付地の価格は、

当該宅地の最有効使用に基づく経済価値を十分に享受することを期待し得る更地としての

鑑定評価額を原則として上限としている。

 

しかし、

①敷地上に超過容積率の建築物、

いわゆる既存不適格建築物等が存する場合等、

当該建物が存続する限りにおいて

③更地の最有効使用を上回る利用が可能なことがある。

また、

不動産投資が活発な地域等において、

②最有効使用の建物が既に存する場合、

③建物建築に係る未収入期間等を考慮する必要がないこと等から、

投資家等による選好度が更地よりも高いことがある。

このような場合、

例外的に建付地価格が更地価格を上回る

建付増価の発生)ことがあり得る。

 

簡単に言うと

①敷地上に法定容積率を超過した

既存不適格建築物等が存する場合等において、

②当該建付地の効用が

更地(最有効使用)としての効用を超えることによる建付増価が生じ、

建付地の評価額が更地としての評価額を

上回ることがある。

 

■借地権と底地

宅地の類型は、

その有形的利用権利関係の態様に応じて、

更地/建付地/借地権/底地/区分地上権等に分けられる。

 

底地とは

宅地について借地権が付着している場合における当該宅地の所有権をいう。

 

借地権とは

借地借家法(廃止前の借地法を含む)に基づく

借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。

 

底地の価格

借地権の付着している宅地について

借地権の価格との相互関連において

賃貸人に帰属する経済的利益

貨幣額で表示したものをいう。

 

賃貸人に帰属する経済的利益とは

当該宅地の実際支払賃料から諸経費等を控除した部分の

賃貸借等の期間に対応する経済的利益 

及び

その期間の満了によって復帰する経済的利益の現在価値

 

つまり、

底地の権利者(所有者)は、

借地権が付着している限り、

自ら当該宅地を使用収益することはできないため、

底地の価格は、

①借地契約が持続する期間内の地代収入に基づく経済的利益のほか、

②近い将来、更新料・条件変更承諾料・増改築承諾料等の一時金の発生が予測される場合の

これら一時金収入に基づく経済的利益や、

③近い将来、借地契約が終了して

完全所有権が復帰することが予想される場合の

最有効使用の実現等に基づく経済的利益

も加味して形成される。

 

底地の鑑定評価額

下記①と②を関連付けて決定するものとする。

実際支払賃料に基づく純収益の

現在価値の総和を求めることにより得た

収益還元法による収益価格

取引事例比較法による比準価格

 

この場合においては、

次に掲げる事項を総合的に勘案するものとする。

将来における賃料の改定実現性とその程度

借地権の態様及び建物の残存耐用年数

契約締結の経緯並びに経過した借地期間及び残存期間

契約に当って授受された一時金の額及び

これに関する契約条件

将来見込まれる一時金の額及び

これに関する契約条件

底地の取引慣行及び底地の取引利回り

当該底地の存する土地に係る

更地価格又は建付地価格

 

底地と収益還元法

底地の収益価格は、

①基本的には、

契約期間中の純収益及び復帰価格の

現在価値の総和により求める。

 

底地は、

更地等と異なり、

土地建物一体として生み出す収益を

享受することが出来ず、

また、普通借地権等については

更新性が高いことから、

当該借地権の付着している底地の収益価格は、

通常、永久還元法※により求めることとなる。」

※一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法

 

②しかし、

定期借地権については更新性がないことから、

残存契約期間の短い定期借地権の付着している底地の収益価格を直接還元法で求める場合、有機還元法(インウッド式※)を採用する。

 

※地代収入に基づく純収益

引率と有限の収益期間とを基礎とした複利年金現価率を乗じて得た額に、

収益期間満了時における土地価格(更地価格(※2))を現在価値に換算した額を加算する。

(※2)最有効使用前提価格なので収益還元法採用の場合、土地残を適用する。

 

更地復帰の実現性の可能性の高い

底地に係る復帰価格については、

対象地の価格時点における

更地価格を基準として査定することになる。

この過程で、

更地又は敷地が最有効使用の状態にある自建の取引事例の収集が必要となる。

 

収益還元法において、

永久還元法を採用した場合は、

更地の取引事例収集が有効。

復帰価格の算定は不要だが、

②収益価格の試算 or 鑑定評価額の決定の

いずれの段階においても、

上限値として対象地の更地としての価格を勘案する必要があることから、

③更地の取引事例等を収集することは有効。

 

割引率、還元利回りの査定において、

底地の取引事例から得られる利回りとの比較も有効。

純収益を的確に把握し得る底地の取引事例を収集することが必要。

 

底地と取引事例比較法

取法の適用においては、

対象不動産と代替・競争等の関係にある

底地の取引事例を収集することが必要となる。

ただし、

借地人居付の場合の底地価格は、

当該借地契約の内容の如何によって大きく左右されることから、

事例の選択及び各種補正過程においては、

借地契約の類似性賃貸人の属性等を

十分に検討することが必要である。

 

■定期借地権

定期借地権とは、

借地借家法に規定する借地権をいい、

②通常の借地権と異なり、

契約の更新性はなく、

③期間の満了により確定的に契約が終了する。

 

普通借地権に基づく借地権の場合

契約期間が満了しても更新されることが

多いため

これらの借地権が付着している底地については、

 

①近い将来、

借地契約が終了して完全所有権が復帰することが予想される場合の

最有効使用の実現等に基づく経済的利益

よりも、

②借地契約が持続する期間内の地代収入に基づく経済的利益

③近い将来、更新料・条件変更承諾料・増改築承諾料等の一時金の発生が予測される場合のこれら一時金収入に基づく経済的利益

が価格形成に大きく影響する傾向がある。

 

しかし、

定期借地権に基づく借地権の場合

期間の満了によって

確定的に借地契約が終了するので

その底地については、

①更新料は見込めないが、

②借地契約が持続する期間内の地代収入に基づく経済的利益

と、

③借地契約が終了して完全所有権が復帰することが予想される場合の

最有効使用の実現等に基づく経済的利益

が価格形成に大きく影響する。

 

特に、

①残存契約期間が短く、

②建物譲渡特約等のない定期借地権が付着している底地については、

③更地価格に近い水準で価格が形成される傾向がある。

 

■おわりに

私の受験時代は、

定期借家権が出題されるんじゃないかと

言われていたので、

重点的に勉強した記憶があります。

 

受験生は傾向と対策を調査する必要がありますね。

調査と予想はTACとかがやってくれるので、

それを真に受けて勉強しましょう。

やつらは的中させるのが仕事です。

 

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赤貝