不動産鑑定士のブログ 〜坂の上の雲〜

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鑑定理論各論第1章のまとめその1

こんにちは、城山です。

 

ブログへのナレッジ蓄積を進めていきます。

今日から各論第一章ですね。

 

本来なら、

更地は、、とかから始まるはずですが、

それは徐々に、ということで。

 

開発法

対象不動産(更地)の面積

近隣地域の標準的な土地の面積に比べて

大きい場合等において、

開発事業者投資採算性観点から

試算価格を求める手法である。

①一体利用することが合理的と認められるときは

価格時点において

当該更地最有効使用の建物

建築されることを想定し、

販売総額から、

通常の建物建築費相当額及び

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を

控除して得た価格。

②分割利用することが合理的と認められるときは

価格時点において

当該更地区画割して、

標準的宅地とすることを想定し、

販売総額から、

通常の造成費相当額及び

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を

控除して得た価格。

開発法によって求める価格

マンション等又は細区分した宅地販売総額

価格時点割り戻した額から、

建物の建築費相当額及び

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用又は

土地の造成費及び

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を

価格時点に割り戻した額

それぞれ控除して試算価格を求めるものとする。

 

開発法と一般的要因

開発法の適用においては、

販売総額や建築費・造成費

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を、

投下資本収益率で割り引く必要があるが、

投下資本収益率

発注者資金調達における金利に影響を受けるので、

金融市場の状態を分析し、

投下資本収益率の適否の検討が必要。

 

また、

金融市場の金利動向は、

住宅ローン金利水準にも影響を与える。

したがって、

販売期間・分譲期間の査定等においては、

税負担状況等も勘案しつつ、

住宅ローンの金利水準が販売期間の長短

分譲価格の水準にどのような影響を与えるのかを

検討する必要がある。

 

借地権

借地権とは、

借地借家法(廃止前借地法含む)に基づく

借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。

借地権の価格

借地借家法に基づき

土地を使用収益することにより

借地人に帰属する経済的利益一時金の授受に基づくものを含む) 

を貨幣額で表示したもの。

 

借地人に帰属する経済的利益とは

土地を使用収益することによる広範な諸利益を基礎とするものであるが、

土地を長期間占有し、独占的に使用収益し得る借地人の安定的利益

これは、

借地借家法等の規定により、最低存続期間が法定されている。

②契約期間が満了しても、地主に更新拒絶の正当事由がない限り契約更新される。

③第三者への譲渡が可能である。等の法的側面から生ずる利益である。

 

「借り得」

借地権の付着している宅地の経済価値に即応した適正な賃料と、

実際支払賃料との乖離賃料差額)及び、

その乖離の持続する期間を基礎に成り立つ経済的利益現在価値のうち、

慣行的に取引の対象となっている部分

これは、

①権利金等の一時金の授受や地代の粘着性等により、

②価格時点の正常賃料水準より実際実質賃料が低廉な場合、

 借地人にとって当該差額がいわば

「借り得」となっている等の

経済的側面から生ずる利益である。

 

借地権の鑑定評価額

借地権取引慣行の成熟の程度の高い地域に存する借地権の鑑定評価額は、

借地権及び借地権を含む複合不動産取引事例に基づく比準価格並びに、

土地残余法による収益価格

関連付けて得た価格を標準とし、 

③当該借地権設定契約基づく賃料差額のうち、 

取引の対象となっている部分

還元して得た価格(賃料差額還元法)

借地権取引慣行として成熟している場合における、

当該地域借地権割合により求めた価格(借地権割合法)

③④を比較考量して決定する。

 

借地権割合法

地域の標準的借地権価格更地価格に対する割合から標準的な借地権割合を求め、

②これに対象借地権の個別性加味して対象借地権借地権割合を求める。


借地権と一時金

宅地の賃貸借契約に関連して、

借地人から賃貸人へ支払われる一時金には、

一般に、

預り金的性格を有し、通常保証金と呼ばれているもの、

賃料の前払い的性格を有し、又は借地権の設定の対価とみなされ、

通常権利金と呼ばれているもの、

その他借地権の譲渡等の承諾を得るための一時金  

に分類することが出来る。

また、

一時金は授受される時期別に、

①主に契約開始時に授受される一時金と、

契約締結後に授受される一時金 

とに分類できる。

 

これらの一時金が借地権価格を構成するか否かは、

その名称の如何を問わず

一時金の性格

社会的慣行等を考察して

個別的に判定することが必要。

契約にあたって授受された一時金と借地権価格との関係

敷金・保証金等の預り金的性格を有する一時金は、

実際支払賃料の額に影響を及ぼすのみで、

③借地権価格を構成するものではない。

これに対し、

礼金、権利金等の、

賃料の前払い的性格(又は権利の設定対価としての性格

を有する一時金は、

②実際支払賃料の額に影響を及ぼすだけでなく、

買い手にとっての「買い得」を生じさせ、借地権価格を構成する。

 

将来見込まれる一時金と借地権価格との関係

近い将来、以下の支払が見込まれる場合、

これらは借地権の効用増加させるために

買い手が負担するものであることから、

借地権価格を構成する

1.更新料(借地契約の更新時に授受される一時金)、

2.増改築承諾料(既存建物の増改築の承諾を得るための一時金)

3.条件変更承諾

(建物を非堅固から堅固にする等、借地契約の変更の承諾を得るための一時金)等

 

底地

宅地の類型は、その有形的利用権利関係の態様に応じて、

更地建付地借地権底地区分地上権等に分けられる。

底地とは、

宅地について借地権が付着している場合における

当該宅地の所有権をいう。

 

借地権とは、

借地借家法(廃止前の借地法を含む)に基づく

借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。

 

底地の価格は

借地権の付着している宅地について、

借地権の価格との相互関連において

賃貸人に帰属する経済的利益

貨幣額で表示したものをいう。

 

賃貸人に帰属する経済的利益とは

当該宅地の実際実質賃料から諸経費等を控除した部分の

賃貸借等の期間に対応する経済的利益 

及び

②その期間の満了によって復帰する経済的利益の現在価値

つまり、

底地の権利者(所有者)は、

借地権が付着している限り、

自ら当該宅地を使用収益することはできないため、

底地の価格は、

①借地契約が持続する期間内の地代収入に基づく経済的利益のほか、

②近い将来、更新料・条件変更承諾料・増改築承諾料等の

一時金の発生が予測される場合の

これら一時金収入に基づく経済的利益や、

③近い将来、借地契約が終了して

完全所有権が復帰することが予想される場合の

最有効使用の実現等に基づく経済的利益

も加味して形成される。

 

底地の鑑定評価額は

下記①と②を関連付けて決定するものとする。

実際支払賃料に基づく純収益の現在価値の総和

を求めることにより得た収益還元法による収益価格

取引事例比較法による比準価格

 

この場合においては、次に掲げる事項を総合的に勘案するものとする。

 

来における賃料の改定実現性とその程度

地権の態様及び建物の残存耐用年数

約締結の経緯並びに経過した借地期間及び残存期間

約に当って授受された一時金の額及びこれに関する契約条件

来見込まれる一時金の額及びこれに関する契約条件

地の取引慣行及び底地の取引利回り

該底地の存する土地に係る更地価格又は建付地価格

 

底地と収益還元法

底地の収益価格は、

①基本的には、契約期間中の純収益及び復帰価格の

現在価値の総和により求める。

 

底地は、更地等と異なり、

土地建物一体として生み出す収益を享受することが出来ず、

また、普通借地権等については更新性が高いことから、

当該借地権の付着している底地の収益価格は、

通常、「永久還元法※」により求めることとなる。」

※一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法

 

収益還元法において、

永久還元法を採用した場合は、

更地の取引事例収集が有効。

復帰価格の算定は不要だが、

②収益価格の試算 or 鑑定評価額の決定のいずれの段階においても、

上限値として対象地の更地としての価格を勘案する必要があることから、

③更地の取引事例等を収集することは有効。

 

②しかし、定期借地権については更新性がないことから、

残存契約期間の短い定期借地権の付着している底地の収益価格を

直接還元法で求める場合、

有機還元法(インウッド式※)を採用する。

※地代収入に基づく純収益割引率と有限の収益期間とを基礎とした複利年金現価率を乗じて得た額に、

収益期間満了時における土地価格(更地価格

を現在価値に換算した額を加算する。

※最有効使用前提価格なので収益還元法採用の場合、

土地残余法を適用する。

 

更地復帰の実現性の可能性の高い底地に係る復帰価格については、

対象地の価格時点における更地価格を基準として査定することになる。

この過程で、更地又は敷地が最有効使用の状態にある

自用の建物及びその敷地の取引事例の収集が必要となる。

 

 

割引率、還元利回りの査定

底地の取引事例から得られる利回りとの比較も有効。

純収益を的確に把握し得る底地の取引事例を収集することが必要。


底地と取引事例比較法

取事比法の適用においては、

対象不動産と代替競争関係にある

底地の取引事例を収集することが必要である

②ただし、借地人居付きの底地の価格は、

当該借地契約の内容のいかんによって大きく左右されるから、

③事例の選択及び各種補正過程において、

借地契約の類似性+賃貸人の属性等を十分な検討が必要。

 

おわりに

ここはいろんな章とリンクするところであり、

また演習問題を繰り返すことで

理解できます

ぜひ取り組んでみて下さい。

 

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