不動産鑑定士のブログ 〜坂の上の雲〜

更新頻度が比較的高い不動産鑑定士のブログです。ためになる情報を発信していきます(たまに下ネタも。)。

2019年のオフィスマーケットはどうなる?

こんにちは、城山です。

 

 

はじめに

一応、不動産鑑定士なので、

2019年のオフィスマーケットがどうなるかについて、

考えてみたいと思います。

 

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オフィスマーケット

 

CBREの大久保さんが

オフィスマーケットについて先日講演されていたので、

聞きに行ってきました。

 

オフィスマーケットと昨今の経済環境 | CBRE https://www.cbre-propertysearch.jp/article/office_market_future_prediction-vol1/

 

2018年の振り返り

2018年は、調整局面に入ると思いきや、

予想を上回り2018年のオフィスマーケットは好調でしたね。

 

経済動向も堅調に推移し、

当初の予想を上回ったみたいです。

 

例えばGDPです。

第一、第三四半期のGDPはマイナスでしたが、

経済のファンダメンタルズは堅調でしたよね。

 

そして為替レートの安定も寄与しました。

円安により大手の輸出企業にとって多くの恩恵がありましたよね。

 

またコワーキングオフィスなど、

新たなオフィス需要の台頭がありました。

WeWorkとかですよね。

想定以上に需要が強かったようです。

 

www.buzzlife1a0312758.com

 

オフィスマーケットの現状認識

オフィスマーケットは失業率と密接な関係があります。

当たり前ですね。

はたらく人が少なくなったらオフィスいらないですからね。

 

特に空室率と失業率の動きはほぼ同じらしいです。

 

失業率は2.5%、過去25年で最低水準です。

空室率は0.8%、1%を切る水準です。

 

データを取り始めた調査開始以来最低値。

 

オーナーにとっては賃料値上げ局面。

テナントは空室探しが大変な時期。

 

需給がタイトな局面ですね。

 

テナントの移転理由ランキング

2014年以降は新設・拡張が1位。

面積縮小による移転は、減少を続けています。

 

2017年も需要が旺盛、

2018年も引き続き好調、

しかもこれは全国的な現象です。

 

ほとんどの都市で、1年前に比べて空室率減少、

過去最低値更新中の都市もあります。

 

特に東京、埼玉

大阪1.7%(調査開始以来最低値)

京都(0.6%、オフィスストック減少)

福岡(0.4%)は空室率1%を下回る。

 

京都はオフィススペースが減少していますね。

なぜか。

オフィスビルを取り壊し、ホテルを作っているからですね。

 

東京のオフィスマーケット

香港、NYはグレードAオフィスビルが7割ある。

東京は2割しかありません。(らしいです。)

 

東京のグレード別空室率

どのグレードでも需給はタイトで、

いずれも1%切っています。

 

過去のトレンドを見てみましょう。

景況感を見ると、二次空室発生リスクは?

2012年、グレードAの空室ピーク(10.3%)でした。

JPタワーやイーストサイドスクエア新宿の竣工時は、

いずれも稼働が低かったですね。

 

割りを食ったのは、

グレードAマイナスビルとか、

グレードBビルですね。

 

中規模ビルはテナント構成がグレードAと違うので、

グレードAの影響を受けないような気もします。

 

東京のエリア別の空室率の動向

2017より2018年の空室率が低いです。

 

特にこの1年低下したのは、

八重洲日本橋、六本木赤坂、虎ノ門汐留。

1%以上低下しました。

 

既存の大型ビルの稼働はあがりました。

新築グレードAビルは9割以上消化しています。

 

東京のエリア別の賃料の動向

そんなに上がってない。

空室率は過去最低だが、

賃料は過去最高値まで程遠いレベルです。

 

2005-2018の平均値をやや上回るレベルですね。

 

東京オフィススペースのストックの量は6割増えています。

特に、グレードAは倍増しています。

 

面積は増えているが、賃料は以前ほど上がらない現状です。

 

テナントの移転先動向

東京の西は、IT系集積です。

やっぱり渋谷とかは強いですね。

 

東は金融、士業、メーカーです。

大手町丸の内、ですね。

 

イメージ通りです。

 

賃料は、

2015年がピーク

2018年に再度上昇傾向、

割安エリアで賃料底上げですが、

鈍化傾向にあります。

 

東京オフィス賃料の上昇率 VS 為替レート

円安とオフィス賃料の関係ですが、

円安にふれると賃料下げ幅が縮小するそうです。

リスクに敏感な投資家は円を買うからですかね。

 

東京オフィス稼働率日銀短観判断指数。

稼働率の改善は、短観業況判断に遅行するそうですよ。

1〜2年遅れて回復するのが空室率だそうです。

 

2019年はどうなる?

今年は円高にふれるでしょう。

また、世界経済も成長が鈍化するでしょう。

なんとなく不安ですね。

アメリカの利上げも先送りされましたし、

オフィスマーケットにもじわじわと影響があるかもしれません。

 

1サイクル9−10年です。

1サイクルっていうと、

景気の上下ですね。

 

そろそろオフィスマーケットも

転換局面に差し掛かってもおかしくないでしょう。

 

東京は新規供給が多いです。

ここ2年で25万坪です。

過去平均18万坪より多い。

 

新築は順調にテナント確保できています。

新築ビルは、時間がややかかるかもだが、

テナントは見つかります。

 

グレードAマイナスがこれからが大変でしょう。

景況感次第ではじわじわ二次空室発生の可能性があります。

 

東京オフィスマーケット、エリア別の新規供給予測〜2024年ですが、

1位八重洲日本橋エリア

2位品川田町エリア

3位虎ノ門汐留エリア

 

東京オフィス賃料の予想は横ばいから、

だらかな調整局面に入るでしょう。

 

2019年の経済は、1%の成長が見込まれますが、

消費税増税の影響、米国経済鈍化もあり、

2020,2021年は伸びが鈍化するでしょう。

 

2023年は20万坪の新規供給、

2024年は10万坪、

2025年も20万坪です。

 

地方のオフィスマーケット

供給が限定的です。

大阪は2019年供給がありませんが、

2020年はああります。

さらにその先はうめきた第二期プロジェクトです。

 

名古屋はリニアニ開発による立ち退きの影響もあり、

タイトな状況が続くでしょう。

 

空室率

すべての都市は上がるが、

まだまだ低い数値にとどまるでしょう。

 

 

おわりに

今日は真面目な不動産市場についての

メモでした。

 

何かの参考になれば!