こんにちは、城山です。
前回の続きです。
不動産鑑定士と説明能力
鑑定士の皆さんは
日々依頼者に説明をしているはずです。
毎日がプレゼンテーションのはずなので、
説明能力は優れているはずですよね。
それは不動産が
金融商品だったり、
自社資産だったり、
M&Aする相手の会社の資産だったり、
要は「不動産」という概念に基づいて
不動産の経済価値を貨幣額で説明するので、
双方わかりやすいわけですよね。
不動産鑑定士なので、
古美術とかアートとかの芸術作品の
経済価値を、貨幣額で表示することは
できないですよね。
経営はアート&サイエンス&クラフトの組み合わせ
アートは、あるべき姿を照らすもの、
サイエンスは、現状を見つめるフラスコ
クラフトは、その両者の溝を埋めるシャベル、
らしいです。
意味わかんないですよね。
芸術と科学とモノづくり
この3つが重なって初めて
「強い経営」ができるらしいのですが。
サイエンスって、科学ですね。
説明できますね。
アートって、説明できますか?
ロジカルじゃないですよね。
伝わりますか?
鑑定評価額ってロジカルに説明できますよね。
でもアートって主観ですよね。
投資家が1億持ってて、
利回り10%の収益不動産に1億使うのか、
利回りはないけどバンクシーの絵に1億使うのか、
どっちの選択肢がロジカルかっていうと、
前者ですよね?
後者を選ぶ人はその人の主観ですよね。
説明能力に違いがあるのがわかりますでしょうか。
説明能力の違い
サイエンスは説明能力が高い、
アートは説明能力が低い。
これを言い換えると、
天才と秀才の関係と同じで、
秀才は説明の天才です。
我々不動産鑑定士が説明能力が高いのと同じです。
我々不動産鑑定士は、
天才が作る芸術の経済価値を
貨幣額で表示することはできません。
したがって、
アートとサイエンスを同じ土俵で戦わせてはいけない、
アートとサイエンスを直接戦わせてはいけない、
ということになります。
ふーん。
共感性は強いほど危うい
ゆるふわ女子たちが、
「歌詞に共感する」とかいうのを聞いたことがあります。
西野カナの共感を呼ぶ歌詞 友人やスタッフへの取材など戦略も - ライブドアニュース http://news.livedoor.com/article/detail/15970762/
この共感が危ないらしいです。
ただ共感するだけなら勝手にどうぞですが、
共感による意思決定は危ういから注意したほうがよい、
ってことです。
共感って多数決の世界ですよね。
みんながいいって言っているものはいいし、
悪いって言ってるものは悪い。
説明能力ってなんだ?
説明能力って、ようは
ロジカル理屈と、
再現できるかどうか、
それに共感できるか
ですよね。
理屈と再現性の説明は、秀才が得意です。
共感は凡人が得意です。
凡人は、「みんながやっているからやる」という
共感に敏感です。
凡人は流行に敏感ですと言い換えてもいいでしょう。
流行に一生懸命理屈付けする人もいますが、
流行って、そんなに理屈ないですよね?
たまたまヒットした、みたいなのが多くないですか?
たとえばじゃんけん。
世界中で毎日数億人に使われていますが、
流行ではないですよね。
それにグーよりパーのほうが強いというところには、
理屈もない。
一度広がった「当然のもの」は、
破壊的に広がっていきます。
スマホも同じではないでしょうか。
じゃんけんにロジックはない、
これが天才や秀才は嫌うそうです。
空気感
空気感って、
「みんなが信じてる」ことからくる影響力ですね。
なんかそれっぽい、
みんなこっち見てるよね、
みんな思ってるよね、とかですね。
どんだけ正論言っても、
みんなが信じてる方と違ったら、
正論が通らない。
みんなが円を信じている、
それだけで価値がある、
みんながドルを信じている、
それだけで価値がある。
売れているものは、売れているというだけで
価値がある。
説明など不要、
だから説明能力など不要。
これが天才や秀才はイヤなんだそうです。
天才は見えないものが見える
天才は幽霊が見えます。笑
たぶんこれは極端な例ですが、
「多くの人が価値を見出していないものがすでに見えている。」
「多くの人が理解していないものをすでに理解している。」
とかでしょう。
ロジカルじゃないから秀才には理解できないし、
共感できないから凡人には理解できません。
めちゃくちゃ反発されるはずです。
天才には見える世界は、
描写はできるけど、実態を見せることができないから、
幽霊を例えに使って、
「天才は幽霊が見える」
と表現したのですね。
幽霊は説明できない
幽霊は、
ロジカルに説明できないし、
凡人には見えないから共感もされない、
だから天才に見えるものは、
説明能力がめちゃくちゃ低いですよね。
おわりに
今日はここまで。
次回は、反発の量をKPIにすべきと
前々回で言いましたが、
じゃあ反発は反発でも、
本当にダメなものに対する反発と、
破壊的イノベーションを起こすものへの反発を
どうやって区別すればいいかから。