不動産鑑定士のブログ 〜坂の上の雲〜

更新頻度が比較的高い不動産鑑定士のブログです。ためになる情報を発信していきます(たまに下ネタも。)。

AM会社のしごと(金利と鑑定理論と銀行)

こんにちは、城山です。

 

前回からの続きです。

 

www.buzzlife1a0312758.com

 

今日は DSCRです。

■DSCRとは

一言で言うと、

「借金や利息をちゃんと払えるくらい儲かってるんだろうな?」

ということを図る指標です。

 

デットサービスカバレッジレシオ、ですね。

 

これはリンク先見たほうが理解できます。

 

u201810_1.pdf chrome-extension://mhjfbmdgcfjbbpaeojofohoefgiehjai/index.html

 

インタレストカバレッジレシオとは - 金融用語集|銀行員ドットコム http://www.ginkouin.com/yogo/buisiness/002.html

 

計算もエクセルでちゃちゃっとできます。

 

REITの場合は、

SDSCR

といって、

金利が急上昇した場合でも対応できるか?

ということで、

ストレスをかけたデットサービスカバレッジレシオ

(Stressed Debt Service Coverage Ratio)

が使われているのではないでしょうか。

 

だいたい、

1.25以上あると大丈夫

って感じですね。

こちらもLTV同様、

二期連続して1.25を切ると、

金融機関からなんらかの手当をするように言われます。

 

まあ切ったことがないので、

切ると実際に何が起こるのかはわかりません。

 

REITの破綻

リーマンショックがあり、

各金融機関は一斉に貸出スプレッドを上げて、

ファイナンスにも応じず、

破綻したREITもありましたね。

 

J-REIT初の破綻 ついに不動産投資ファンドも淘汰へ https://diamond.jp/articles/-/5517

 

ファイナンスはとっても大事です。

下手すると会社が潰れてしまいます。

金融機関との関係維持は超大事です。

 

たとえ業績が悪くても、

普段から関係構築をしっかりしておいたり、

真面目に対応していれば、

金融機関だってちゃんと査定してくれます。

 

このときは、

世界的に信用伸縮し、

金融機関側もリスクテイクできなくなり、

運が悪かった。。。

 

金利と鑑定理論

リーマンショック後しばらくしてからは、

どんどん金利が低下しました。

2011年ころからでしょうか。

 

TIBORなどの基準金利が低下しただけでなく、

スプレッドもどんどん低下しました。

 

一方、金利が下がると、

不動産価格は高騰しますから、

不動産業界はミニバブル化し、

各金融機関は我先にと貸出合戦が始まりました。

 

金利が下がると、

不動産価格が上昇するのはわかりますね?

 

あれですよ。直接還元法です。

直接還元法
P:求める不動産の収益価格
a:一期間の純収益
R:還元利回り

 

還元利回りって、

どうやって求めるんでしたっけ?

割引率と還元利回りの関係はこれでしたね。

 

R=Y-g

R:還元利回り
Y: 割引率
g:純収益の変動率

 

割引率って、

どうやって求めるんでしたっけ?

「金融資産の利回りに不動産の個別性を加味して求める方法」

 がありましたね。

 

「比較の対象となる金融資産の利回りとしては、

一般に10年物国債の利回りが用いられる。

また、株式や社債の利回り等が比較対象として

用いられることもある」

んでしたよね?

 

利回りや市場金利がわかれば、

割引率が査定できて、

割引率が査定できれば、

還元利回りが査定できて、

不動産価格価格が上がる。

 

不動産鑑定士ならわかりますね。

だから、経済学が試験科目であり、

マクロ経済学を勉強する必要があるのですね。

 

不動産鑑定士の知識はファイナンスでも活かせます。

 

賃料が上がってないのになぜ不動産価格が高騰するのか、

不動産鑑定士ならばっちり説明できるはずです。

 

直接還元法
P:求める不動産の収益価格
a:一期間の純収益
R:還元利回り

 

aの賃料が上がらなくても、

Rの利回りが下がるから、

不動産価格は上がるのですね。

 

ちょっとファイナンスにも興味が出てきましたか?

 

■怒りの返済

リーマンショックがあってこっちが大変なときに、

「頼む!200億!リファイお願いします!」

と、各金融機関にお願いしました。

 

でも、リファイしてくれない金融機関もいました。

 

リファイしてくれなかった銀行には、

不動産市場が落ち着いてきて、

不動産バブルが来て貸出競争になったとき、

金融機関から

「頼む!200億!リファイお願いします!」

と言われましたが、

全額返済してやりました。

 

金融機関からしたら、

マーケットでは貸出競争しているのに、

200億も返済されたら困るわけですよ。

 

その200億で融資して利ざやを稼がなきゃいけないのに、

どこも貸出競争してるわけですから、

「こっちが辛かったときに、おまえリファイ応じてくれなかったやん」

といって出禁にした金融機関も多々あります。

 

「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」 んですよ。

 

 

■各金融機関の特徴

これは城山の肌感覚でしかないのですが、

各行のイメージです。

 

城山は当時、

アソシエイトクラスのポジションだったので、

マネジメントクラスでは、

もっとバチバチ交渉してたと思いますけどね。

 

A銀行さんは、

言うことなんでも聞いてくれるかんじでした。

好きです。

そのかわり借入残高は常にトップと

してあげました。

バンクフォーメーションは大事です。

 

城山はもうよくわからないんですけど、

昔は名門だったそうです。

しらんけど。

 

融資も、

「今回は他から借りまーす。」というと、

「了解でーす(次はうちから出させてね。)」

みたいな感じで。

 

接待は、

銀行さんの保養施設?みたいなところで、

女将さんみたいな人とかがいて、

いかにも料亭みたいなところで

美味しい料理とお酒を堪能させてもらいました。

 

B銀行さん

好きです。

こちらは、融資担当の本店のほかに、

ストラクチャードファイナンスを担当する

部署とも調整していました。

 

そことの調整がちょっと面倒でしたけど、

金融機関ってまあそういうものなのかな?

と思ってました。

 

本店の人がLTVとかSDSCRとか、

細かいことまで全部わかるわけないですからね。

 

接待は、金融機関側も役員クラス以上じゃないと使えないようなところに連れてってもらい、

金融機関の人たちもテンション高めでした笑

 

 

C銀行は、

営業部以外に

ストラクチャードファイナンス担当部署があったのですが、

ここがだいぶウザかったですね。

 

気持ちはわかります。

金融機関が違法建築や、

反社会的勢力が入居している不動産の

購入資金を融資するわけにはいきません。

 

審査はそうとうめんどくさかったです。

 

接待は、

こちらも同行の保養施設?があって、

女将さんがいて笑、

個室の座敷があって、、

半蔵門とか一番町とか、

そのあたりだったと記憶しています。

 

D銀行さんは、

普段は怖いけど貸してくれる印象です。

不動産仲介で投資不動産を紹介してくれて、

その不動産購入資金もセットで借りてねー、

みたいな感じでした。

 

E銀行さん

旧銀行の血が色濃いなーという印象です。

 

ある不動産を買うときに、

「平等に各行から10億ずつくらい借りとくか!

絶対出してくれそうなEから行くか!」

ってことで訪問したら、

「10億ぽっちならいいや」

って即断られた記憶があります。

 

で、結局E以外全行10億ずつ融資するとなり。

 

ファイナンス担当者って、

全金融機関に、

「ここからいくら借ります。」って

報告するんですよ。

 

「御行以外から10億ずつ借ります。」

ってお知らせしたら、

役員クラスがすっ飛んできて、

「ごめん!やっぱ出させて!」

と言われましたが時すでに遅し。

 

 

「もう揃ったんですよ〜(おせーよ)」

 

ってお帰りいただいた記憶があります。

 

「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」 

ですね。

 

■信託銀行は大事

REITって、

現物不動産だけじゃなくて、

信託受益権とかも買ったりするから、

信託受益権担当部署(証券代行部だったかな)

の人たちとの付き合いもありました。

 

また、REITの口座は

信託銀行に作るので、

口座間の資金移動とか、

いろいろとおせわになりました。

不動産カストデイ部だったかな。

 

組織図 | 三井住友信託銀行株式会社 https://www.smtb.jp/corporate/organization.html

 

F銀行さんも、

ちゃんとしてました。

 

行員は超優秀です。

政府系金融機関なのであたりまえですが、

リーマンショック直後のやばいときも、

金利は高かったですが、

融資してくれました。

 

アモチゼーション付きとか、

いろいろと条件はつけられましたが、

それくらい調整してもらってピンチを脱しました。

 

接待も、

たしか六本木の、

「こんなところにこんな施設が!?」

みたいな保養施設に連れてってもらいました。

 

お硬いイメージもありますが、

飲めば普通の人たちです。

 

■金融機関は横並び意識すごい

 「あそこはいくら出すの?」

みたいなことをめちゃくちゃ気にするんですよね。

 

あそこが出すならウチも出す、

あそこが出さないならウチもちょっと、、、

 

っていう感じです。

 

てめぇら主体性っていうもんはないのか!

と、思ったこともありますが、

巨大組織ですから、どうしようもないんでしょうね。

 

■おわりに

次回は接待のマナーなど。

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